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三人の世界 5
「あぁ! いやっ……だめっ……また……」
「いいぞ夕凪。それでいい……怖がるなっ」
激しく吸われ扱かれ続けた。律矢さんの口の中に、己のたかまりが吸い込まれていくのを目にして羞恥に震えた。
「夕凪、余所見をするな! 」
今度は顎をくいっと持ち上げられ、信二郎に口腔内を犯される。舌を絡めとられ、奪われ……くちゅくちゅと卑猥な音が立っているのが耳に響いてくる。
じゅっ……ぴちゃっ……
下からも上からも…淫らな水音がする。
「んっ……あっ……」
次第に、息をつく暇もなくなって、もう一寸の暇も与えられない。
全速力で走り抜けた後のように、はぁはぁと呼吸が苦しい。
意識が飛ぶ寸前だった。
「達けっ」
「あぁっ!……うっ」
腰がぶるっと大きく震えた。同時に律矢さんの口に押し付けるかのように熱く弾けたのは、二度目の射精だった。
「はぁ……はぁ…」
「まだ出るだろう」
「もうっ無理っ」
最後の一滴まで搾り取られ、その途端に躰が重く布団に沈み込んでしまった。
こんなに間隔を開けずに出したことはない。もう何がなんだかわからないような状態だった。
「夕凪の……すごく美味しいぜ」
「美味しいはずなんてないっ。酷いよ……二人して…」
律矢さんが唇を手の甲で拭いながら、その端正な顔を寄せて来た。
「美味しいに決まっているだろう。好きな人のものだ……夕凪のものだ」
「そうだ、私達は夕凪を愛している。もう恥ずかしがるな」
信二郎も同意する。
二人の男の口に出してしまった。立て続けに……未知なる体験にまだ頭が付いていけなかった。
「俺は……どうしたらいい? 何をすれば? ……あなた達がそれでは苦しいだろう」
信二郎と律矢さんの股間に目をやると、そこは大きく膨れていた。ところが信二郎も律矢さんも首を横に振る。
「いいんだよ。今日は夕凪だけが気持ち良くなれ。俺たちはまた今度……夕凪の躰がもっと慣れたらでいい。これからゆっくり与えてくれればいい。夕凪に再会できただけでも奇跡なんだ。焦らないから、お前が俺達を受け入れられる躰になったらにしよう」
「そんな……それじゃ……」
驚いた。
信二郎も律矢さんも最初は強引に俺の躰を奪ったようなものだったのに、今はこんなにも俺の躰に気を遣ってくれるのか。
本当に君たちは……あの俺を襲った軍人とは違う。
俺のことを、本当に愛してくれている。
そう心の底から思った。
大事にされることの歓びが込み上げ、その嬉しい気持ちは、やがて熱い涙となって溢れて来た。
「うっ……うう…」
泣いてしまったことが恥ずかしくて、両手で目を覆った。
あの日、見ず知らずの男二人に犯され、助けがこなければ……あのまま果ててしまったかもしれない命だった。男なのに男に無理やり犯されたことが辛く己の身を呪い、この世から消え入りたくなったのも確かだった。
だが湖翠さんと流水さんに助けられ……この一年間二人の庇護のもと、ゆっくりと時間をかけて心の傷を癒すことが出来た。そしてここにきて、信二郎と律矢さんが俺の前に再び現れ、俺を求めてくれるなんて。
俺の躰の傷を、こうやって上書きすることで癒してくれるのか。
二人の男に犯された躰を、君たちが二人で上書きしてくれる。
「夕凪……何故泣く? どうした? もしかして嫌だったか」
「急過ぎたか? 悪かった。もうしないから」
二人が焦った様子で聞いて来る。
「違う! 違うんだ。そうじゃなくて……」
「どうした? 」
「……俺は幸せだと」
「夕凪……君にこんな運命を背負わせてしまったのに、それでも幸せだと言ってくれるのか」
えっ……律矢さんが泣くなんて……
律矢さんの目に大粒の涙が浮かんでいた。
更に、その横の信二郎の目も赤くなっている。
その涙が、とても心に沁みた。そして涙を流してまで、俺のことを考えてくれる人がすぐ傍にいてくれる喜びを感じた。
「律矢さん……信二郎。俺はあなたたちと行くよ。俺を京都へ連れて帰って欲しい。生まれ育った京都へ。俺にとっての故郷……そこで今度はあなたたちと暮らしたい」
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