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三人の世界 6
「夕凪の望むままに」
今の俺は、二人の男に求められ守られている。
だが……それだけじゃ嫌だ。俺だって、ちゃんと与えたい。あなたたちの望みに応えたい。この一年もの間、俺のことをずっと探し求めてくれたのだから。
信二郎は東京に住所を移し、休みの度に俺の行方を捜してくれたと聞いた。そして律矢さんは俺を助けるために負傷してしまった。そんなにしてまで俺のことを求めてくれるあなたたちのことが、とても好きだ。どちらかなんて選べないほど、二人が好きだ。
ようやくその感情に素直になれた。だから二人に躰を開いたのだ。素直な気持ちは、躰の感度をも素直にしてしまったようで、二度も放ったのにまだ熱が冷めない。
「あっ……まただ」
下半身が震える。
先ほど確かに弾けたはずの熱が、蘇ってきてしまっている。この高まりを静めるためには、躰の内側への刺激が必要なのかもしれない。
信二郎に抱かれ律矢さんに抱かれた躰は、まだ覚えている。もう長いこと誰にも触れさせていない部分が、淫らにあれを求めている。内なる場所を満たしてもらいたくて、ひくついているのを確かに感じた。
なんとも恥ずかしい。俺はこんな人間だったのか。どんどん二人によって塗り替えられていく。いや自分の意志で確かに変わっているのだ。
「あなたたちは、俺の望みを聞いてくれると? 」
「あぁ、今すぐ京に帰りたいのなら連れ去ってやる」
「この行為が辛かったのなら、俺達は今すぐこの部屋から出て行く」
そんなことを口を揃えて言う二人のことが愛おしい。俺は二人の躰を両手を思いっきり広げて抱きしめた。
「そうじゃない。もう我慢しなくていい。俺の躰に入っていい」
「だがそれじゃ負担が」
「そうだ夕凪ゆっくりでいい。俺達のことを心配するな。後で自分で抜けばいい」
「違うんだ。俺があなたたちのことを欲しいんだ。今すぐ、我慢できない程……欲しいよ」
以前の俺だったら絶対に口にしなかったことだ。こんな風に……自分の方から誘うような台詞。
「本当に、後悔しないか」
「あぁ……大丈夫だ。あ……でも」
朧げな知識で一つだけ怖いことがあったのを思い出した。
「なんだ? なんでも話せ。夕凪が嫌がることは絶対したくないから」
それをストレートに口にするのが憚られるので、遠回しに願い出た。その瞬間、羞恥に頬が染まったのを感じた。
「その……一人ずつでいいか」
信二郎も律矢さんもその言葉の意味を、すぐに理解してくれた。
二人は深く頷いて…
「当たり前だ。可愛い夕凪のここが壊れてしまう。そんなことを急にしたら」
「ありがとう……じゃあ……来て…」
自ら誘った。
もう覚悟はできている。
二人に交互に抱かれることを覚悟している。
俺の躰が疼いて堪らないほど待ち望んでいる。
あなたたちで、満たされたい。
心も躰も二人のもので塗りつぶして欲しくて堪らない。
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