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嫉妬 3
「夕凪の躰が朝日を纏っているようで美しいな。なぁもう一度揺らしていいか」
「……はい」
律矢さんに官能的な眼で求められたら、頷くしかない。
俺は本当に変だ……俺の方も律矢さんと別れがたくなってしまい、積極的に腰を揺らしてしまった。
繋がった結合部がぐちゅぐちゅと朝の白々しい光に不釣り合いな卑猥な音を立てても、やめることが出来なかった。
「くっ……夕凪、いいぜ。すごくいい。どうした? 昨日から随分と積極的だな。よしっ上に乗れ」
「んっ」
律矢さんに促され跨ると、きつく腰を掴まれ上下に揺さぶられた。仰向けやうつ伏せの時とは違う、躰の最奥に律矢さんのものが突き刺さるような感覚だ。やがてズンっと突かれる度に、俺の先端からとろとろと白いものが零れ出た。
「トコロテンか……いいな。この光景」
昨夜から何度も執拗に追い求められ限界まで出したはずなのに……まだ出るのかと驚く程の乱れ具合に、自分自身で呆れてしまった。俺はいつからこんなになったのだろう。男に抱かれまくってよがって……でも気持ちよくて……こんな風になったのはいつからだろう。少しだけ冷静な頭がそんなことを問うてくる。
でも……まともな考えは首を横に振って追い出し……ひたすらに快楽を追うことに決めた。
「あっ……あ……あっ……もう駄目。イク……っ」
その時突然襖が横にシュッと開いた。
この密な空間を切り裂くような音だったので、ハッと顔をあげた。
「えっ」
俺の前に立ち尽くすのは、信二郎だった。
「しっ信二郎っ……」
騎乗位で揺さぶられながら……信二郎と目がばっちりと合ってしまった。
なんという醜態だ。
朝日に照らされているせいで、律矢さんとの結合部まで丸見えで、途端に自分の痴態を恥じ、羞恥に震えた。律矢さんも気が付いたようで、くるりと身を反転したので、俺はドサっと布団に落とされた。でも両手を掴まれたままなので逃げ出せない。
「なんだ信二郎……久しぶりだな。悪いな。昨夜から夕凪を独り占めさせてもらって」
少しも悪びれない律矢さんの様子に、信二郎は軽く舌打ちをした。
「チッ……いい気なもんだ。人の気も知らずに……」
信二郎は明らかに不機嫌だった。
俺だって昨夜は信二郎が律矢さんと過ごせるようにと気を利かせてくれたのは分かっていた。だから朝には信二郎のことを心地よく出迎えようと思っていた。美味しい朝食と作って、またあの時のように白米の甘さを噛みしめようと。
「くくっ信二郎、お前妬いているな」
「何だと? 」
律矢さんの挑発に、信二郎は目を剥いた。
「来いよ、久しぶりにふたりで夕凪を愛そうじゃないか」
「え……」
「夕凪いいよな?駄目か」
胸の尖った突起を、律矢さんの舌先で突かれ返事を急かされた。
「あ……うっ……」
それから感じやすくなっているそこを嬲るようにべろりと舐められる。
「いいよな? 」
こういう時は律矢さんの傲慢さが一気に出てしまう。俺は自分の躰を支配されているような心地になってしまう。それでも二人に開拓され尽くされた躰は、俺の意志を置いて、期待に震え求めだしてしまう。
「ほら、信二郎も誘えよ」
「あっ……」
今度はカリっと乳首を噛まれる。その後長い舌でチロチロと舐められてしまう。すると下半身に血がぎゅうっと集まって、蕾がひくひくと震えていくのを感じる。
「信二郎も……一緒に」
「よしよし、よく言えたな。なぁ今日なら出来るかもしれないな、二輪挿し。夕凪のここは昨夜から充分開いているから」
「えっ」
激しく動揺してしまった。
だって……それはまだ未知の体験だった。
いや二人に同時に愛してもらうことを決めた時点で、いつかこうなることを覚悟していた。それが今日だなんて……躰がカタカタと震えてしまう。
「なるほど……そうか」
信二郎の目も光った。
信二郎が着物を勢いよくばさりと脱ぎ捨て、俺のもとへ一歩また一歩と近づいて来た。股間には逞しくはち切れそうなものをぶら下げて。
「夕凪……愛している。だからもっと愛させてくれよ。ふたりで愛してもいいだろう」
律矢さんの魔法の言葉に、脳がまた溶けて出していく。
駄目だ。俺は律矢さんの声が好きだ。律矢さんの躰が好きだ。
そして信二郎に触れられると、今度はまた別の感覚が目覚めた。
「信二郎……信二郎も俺に触れてくれ」
幼子が求めるように、信二郎に手を伸ばす。
逞しい手が俺のことをどこにも行かないようにぎゅっと掴んでくれると、なんともいえない落ち着きを感じた。
「夕凪……どこにも行かせない。お前は私のものだ」
信二郎の心の声が胸に響く。
二人は俺の居場所を作ってくれ……生きている意味を教えてくれた人だ。
「怖いけど……いいよ。あなたたちになら……俺は同時にふたりを受け入れる」
自ら……そう誘っていた。
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