隔てられて 2

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隔てられて 2

閲覧注意 無理矢理シーンあり 地雷な方は飛ばして下さい。 **** 「へぇ意外と初心なんだな」 「り……律矢さん、離して下さいっ」 「何照れているんだ? とっくに男と関係を持っているくせに」 「うっ……」  律矢さんの……信二郎と引けを取らない長身で逞しい躰に、女のようにすっぽりと抱きしめられている姿にひどく情けなさを感じてしまう。  律矢さんは華やかな顔立ちな上に男らしく精悍で、女だったら誰もが惚れてしまうような人なのに、なんでこんな場所で俺にこんなことをするのか。  必死に躰を揺すって逃げようと試みるが、無駄な抵抗のようにいとも簡単に躰を更にきつく抑え込まれてしまうだけだった。そして律矢さんの手がとうとう俺の股間に辿り着いてしまった。もう限界だとばかりに大きく抵抗するとギュッと力任せにそこを握りしめられ、苦痛が躰を突き抜けていった。 「うっ……痛っ……」 「おいおい、あんまり暴れるなよ。親父が新しい女を手に入れて下働きとして散々虐めた上に、今晩手を付けるって聞いたから、実家に戻ってみれば……まさかあの時助けた夕凪……君がその女だったなんてな」 「俺は女じゃないっ! それに……えっ……じゃあ、あなたはこの大鷹屋の……」 「あぁ俺はこの店の息子。若旦那さ」  何てことだ。祇園で俺を救ってくれたことがあったので、少しでも気を許していた自分が情けない。一転して律矢さんは余裕の笑みを浮かべ、今度は撫でるように優しく触ってくるので、途端にぞわっと躰に鳥肌が立ってしまった。 「離せっ」 「まぁ待てよ、なぁ悪い話じゃないぜ」 「やめろ! もう……やめてくれ」  男なのに、いいように扱われることが悔しくて恥ずかしくて情けなくて、涙が目の端に浮かんできてしまう。 「へぇ泣くとそんな顔をするのか、そそられるな。なぁ親父じゃなくて俺のものになれよ。お前のこと気に入ったぜ。親父から守ってやる」 「必要ない! 俺は誰のものにもならないっ」 「くっ強気なところがますますいいな」 「やめろっ! 」  律矢さんの躰を渾身の力で突き飛ばし、なんとか湯船から這い出ようとしたのに、あっけなく捕まってしまう。そして躰をそのまま洗い場の冷たいタイルの上に押し付けられ、律矢さんに馬乗りになられてしまった。  圧倒的な体格の差で体重をかけ抑え込まれてしまうと、もう少しも動けない。裸の俺は無防備な躰のまま、まるで捕まった蝶のように両手を抑えつけられ、楔を打たれたように哀れな姿勢を取らされていく。 「初めてじゃないだろう……男を誘うにおいが立ち込めているな。お前から」 「あうっ」 「ここで抱かせろ」 「嫌だ! やめろ! 」  悲鳴をあげる唇をすっぽりと塞がれ、何度も何度も吸われると唾液が頬を零れていく。涙と湯気と汗にまみれて……もう何がなんだかわからない。霞む視界の向こうに、信二郎の穏やかな寡黙な顔を思い出す。  信二郎っ、 どうしたらいい?  何故……こんなことになってしまったのか。  これが夢だったらいいのに。 「ああっ!うっ……」  そう願う微かな願いは、下半身を突然貫かれる激痛で粉々に散ってしまった。 「うっ……なんてことを……」  自分の身に起きたことが未だ信じられない。だがいつまでたってもその痛みは消えないどころか、躰を貫くものが上下に動くたびに増してくる。 「もうっ……もう嫌だ! 離せっ」  躰の上にのしかかっている律矢さんの躰が自分の肌とぴったりと重なり合っているのを感じれば、俺は律矢さんに犯されているという絶望的な現実を実感し泣きたくなってしまう。 「夕凪、可愛いな。ここからお前を救い出してやる。俺のものだからな、もうお前は」 「嫌だ……抜いてくれ……離してくれ…」    こんな扱いを受けたことが悔しくて涙が込み上げてくる。いや……もう泣くものか。弱みを見せたくない、そんな想いで必死にこらえる。  歯を食いしばり、なんとか躰を侵食していくものを排除しようと試みるが、律矢さんの動きが俺の中で細かく複雑になってくれば、俺の痛みもどこか変化していってしまうのに戸惑ってしまった。こするように腰を揺らされば、信じられない甘い疼きが痛みの中から顔を出してくる。  さらに手で俺のものを扱かれれば、嫌なのに抵抗したいのに、男の性に逆らえなく、触れられた部分が徐々に立ち上がり反応していってしまうことに呆然とした。  なんだ? やめろ……感じたくない。  こんな扱いを受けているのに、俺の躰は一体どうなっている?  これ以上は駄目だ。おかしくなる。 「もう、やめてくれ! お願いだ……」  言葉と裏腹に快楽が俺を支配して、抗えない波となって押し寄せてくる。 「うっ……あっあ」  こんな声出したくないのに、ひっきりなしに上がる嬌声が恨めしい。やがて大きな波が来た。溺れるようにもがいている俺の躰から、次の瞬間、白濁のものが飛び散っていくのを感じると一気に脱力してしまった。 「えっ……嘘だ…こんな風に感じてしまうなんて」  その時、俺の中の何かが壊れはじめる音が聴こえた。  信二郎を想う心が、かき消されていく。  駄目だ……嫌だ……忘れたくない。  そうだ……心が完全に粉々になってしまう前に閉ざしてしまえばいい。  閉ざしていく心は、もう信二郎に会わないという決意で塞がれた。  俺は暗闇に堕ちていく。  深い深い暗黒の世界へ。  信二郎と肌を重ねた時に感じたのは、この世のすべてが止まったかのような二人きりの夕凪の時間だった。信二郎と優しく触れあったあの霞みのような時は、もう二度と戻らない。
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