紅をさす 5

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紅をさす 5

  はだけた着物の胸元から手を忍ばせ、夕凪の膨らみのない胸の小さな突起にそっと触れる。 「あっ……」  夕凪のか細い吐息が悩まし気に聞こえてくる。その声に呼応するように小さな突起を指先で摘み揉み解していく。 「信二郎……んっ、俺……変だ。こんなとこ……なんか」  訴えるような縋るような眼で見つめてくる夕凪は、カタカタと儚げに震えている。逸る気持ちを静めるために深く深呼吸して、耳元で囁いてやる。 「夕凪、綺麗だよ。ずっと触れて見たかったよ。ずっと気になっていた。もっと触れたいよ。駄目か」 「お……俺も、お前のこと……」 「どう思っていた?」 「うちの店に来てくれるの嬉しかった……待っていた。いつも」 「それで?」 「お前と話すと楽しかったし、採寸で触れられた時、ドキッとした」 「一緒だな、私もこの1週間待ち遠しかったよ」 「信二郎……なぁこんなの変だよな? 俺たち、男同士じゃないか」 「そうか」 「普通じゃない……こんなことするのは…」 「そんなことない。自然なことだ。好きになった相手がたまたま君だっただけ。男も女も関係ないよ。好きという気持ちに性別の垣根なんてないと私は思っているが違うか」 「そ……そういうものなのか。あっ」  そう耳元で囁きながら、そっと下肢に手を這わしていくと、夕凪の高まったものに触れることが出来た。 「夕凪もずいぶん反応してるな」 「いっ……言うなっ!」   真っ赤になり恥じらい俯く姿が可愛い。 「夕凪、目を逸らすな。こっちを見ろ」 「んっ……はっ……」  胸の突起を弄る指に力を込める度に夕凪が大きく身をよじるので、着物が次第に乱れていく。肩からずり落ちそうになって、恥ずかしそうに押さえているその手を奪うと、ストンと音を立てて着物が畳に広がり落ちた。  吉祥文様の溢れる世界に立つ夕凪は、天女のように神々しく美しかった。 「綺麗だ。夕凪の個室は何処だ? 」 「に……二階にあるが」 「このまま君を抱いてもいいか」  長襦袢姿で心許なさそうに佇む夕凪の肌がみるみる桜色に染まりだす。本当に綺麗だ。  私という筆で君の躰を染め上げ、描きたい。もう待てない。 「えっ」 「案内してくれ。二人きりになれる君の部屋へ」 「なっ! おっ下ろせ!」 「駄目だ」  戸惑う夕凪を一気に横に抱き、階段を一段また一段、上へ昇っていく。  男にしては軽い躰だ。 咄嗟に落ちないように私の肩に腕を回し、しがみつく夕凪が、抗うことを諦め耳元で恥ずかしそうに囁いた。 「わかった……俺も、信二郎になら……」 作者コメント(不必要な方は、スルーで対応お願いします) こんにちは。志生帆海です。新連載『夕凪の空 京の香り』を読んでくださりありがとうございます。こちらの話は性急な始まりで結ばれる夕凪と信二郎です。やがて二部。三部と話は大きく展開していきます。冒頭部は甘くエロいふたりをお楽しみいただけたらと思います。このままエロ高めのR展開になっていきます♡
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