紅をさす 6

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紅をさす 6

「夕凪の部屋は何処だ?」 「……廊下を真っすぐ行った所だ」 「今日は家に誰もいないのか」 「あぁ、さっき出かけた。振袖の展示会に皆……行った」 「それはちょうどいいな。ここか」  コクリと頷く夕凪を抱いたままドアを開けると、綺麗に整えられた夕凪らしい落ち着いた茶系を中心とした洋間だった。純和風の『一宮屋』の2階に、こんな洋間があるとは思っていなかったので新鮮な喜びだった。 「へぇ和室ではないのか」 「えっ……あぁ」 「珍しいな。ベッドがある」 「ん……留学先で気に入ったので、取り寄せてもらって」  耳まで赤く染めた夕凪を、まだこの時代高級ホテルなどでしか見かけないベッドにそっと降ろした。窓から差し込む夕日が夕凪の躰を照らし長襦袢姿から細い躰が透けて、色っぽいもんだ。思わずゴクリと唾を呑み込んでしまう。 「信二郎……俺……やっぱり」  起き上がろうとする夕凪を押さえつけて跨ぎ、覆いかぶさって口づけを落とした。 「えっ! はっ……んんっ」  さらにチュッと吸いながら唇から首筋を這っていくと、ビクンと夕凪の躰が跳ね上がった。 「ふっ……この位で随分初心だな」 「そんな所、触られたことないっ! だいたいお前は、どうしてこんなに慣れている?」 「ふふっ私が初心だとでも思ったのか」 「いや……そうじゃないが……だが、ああっ!」   長襦袢のつるりとした感触の生地の上から、夕凪の胸の小さな突起に触れる。 「ここ、固くなっているな」 「なっ! そっそんなこといちいち言うな! も……もうやめろ」  羞恥に満ちた顔を背け、腕の中から必死に抜け出そうとしている様子が可愛い。ずっと私の腕の中に閉じ込めておきたくなるよ。固くなった小さな突起を指でキュッと摘んだり、揉んだりするたびに夕凪は漏れそうになる声を呑み込み、必死に両手で口を押さえている。 「ひっ……あっ」  それでも少しずつ声が漏れてくる。後ひと押しだな。生地の上から突起をジュッと音が出る程強く吸い込むと、夕凪の躰はぷるぷると震え出し、溜まらない表情で悶えだした。  いつもちんと正座し文机に向かっている礼儀正しい若旦那を、私の愛撫でこんなに乱れさせていると思うだけで興奮が高まる。もう我慢できない。夕凪の長襦袢の衿合わせに手を突っ込み、一気に両肩を剥き出すように下ろした。 「ああっ!」    夕凪は目を見開き驚き、羞恥に震え手で肩を隠そうとする。その手をシーツに貼り付け、白くほっそりとした頼りない首筋に噛みつくように唇を激しく這わし、さらに胸の小さな突起を直接舐めあげ、舌先で転がし吸い付き、引っ張っていく。  夕凪はもう何も考えられない程に、乱れていた。  口を押さえる手も横に投げ出し、高まっていく体の疼きに悶え、わずかに残った理性でシーツを握りしめ堪えている。 「若旦那……綺麗な躰なんだな」 「その呼び方はやめろ! うっ! 俺っ……もう離せっ」  涙目できっと睨んでくるその表情。もう堪らないな。そそられるよ。  乱れた髪の毛を撫でて少し気持ちを落ち着かせてやりながらも、夕凪の躰を愛撫する手は止まらなかった。  もっともっと乱れて、我を忘れて、私に身を委ねさせたい。 「信二郎……信二郎!」  だが私の腕の中で夕凪はカタカタと震え、必死に私のことを呼び続けていた。 「どうした? こんなに震えて」 「信二郎……これ以上は……怖い」
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