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紅をさす 8
「うっ……うっ」
俯せにした夕凪が嗚咽を漏らしながら、小刻みに背中を震わせている。
「夕凪? 大丈夫か」
流石にやりすぎたかと思い後ろ手を解放してやると、夕凪はこちらを振り返り、涙を浮かべた眼でキッと睨み付けてきた。そのきつい目線にぞくっとする。
「夕凪……まだいけそうだな」
「もういい加減にしろっ! 」
「ふっ……強がっても躰は正直なのに、お前のここを見て見ろよ」
はっとした夕凪が自分の股間に目線を下ろした途端、耳まで真っ赤になった。
「勃っているな……夕凪。筆がそんなに気持ち良かったか」
「ちっ違う!そんな……」
首を横に振って気持ちを切り替えようとしている夕凪を今度は仰向けに押し倒し、上に跨り動きを拘束する。手首を頭の上で一つにまとめて押さえつけ、筆で乳首の周りをすうっと撫でていく。
「ひっ!……んんっ」
夕凪が喉を逸らし仰け反る。拘束された手を必死に解こうとしているが、すぐに力が抜けてしまう。煽るような可愛い若旦那の姿に、私も止まらなくなっていく。
夕凪の乳首の周りを何度もクルクルと強弱をつけて筆を滑らす。撫でるように優しく、腹の方へも降ろしていく。
「はぁ……はぁ……んんっ」
耐えることもままならない熱い吐息が、夕凪の口から漏れてくる。 夕凪のものはしっかりと勃ち上がり、先からじわじわと漏れ出してきている。
次第に快楽に染まり、理性を失いつつある夕凪の耳元で囁く。
「絵を描きたい。お前の躰に」
「絵を……俺に? 」
「あぁ駄目か」
「くっ」
再び筆で今度は夕凪の硬くなったものの裏側を小刻みに刺激していく。
「あうっ!」
躰を大きく震わると同時に、夕凪の長い睫毛に浮かんでいた涙がぽろりと零れ落ちた。そんな夕凪に対して可哀そうなことをしているような、もっと虐めたいような複雑な気持が交差していく。
「はうっ……信二郎っ!もう駄目だ……これ以上触れるな、その筆で」
「撫でるのはやめてやるよ。だから描いてもいいか」
夕凪の腰も自然に揺れ出し、快楽に染まった顔はもう普段の取り澄ました若旦那ではなく、 抱かれていく男そのものになっていた。
「……あぁ」
「描いてもいいな」
コクリと快楽に抗えなくなってきている夕凪が小さく頷く。
ゴクリと興奮で喉が鳴る。
一度深呼吸して、組敷いている夕凪の躰をじっくりと眺めると……夕凪の躰は汚れていない真っ白な布のようだ。着物に絵付けするように、その綺麗な素肌を私の絵で埋め尽くしたい。
墨を筆につけ、夕凪の躰に今一気に下ろす。
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