side:死神

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side:死神

落ちろ――堕ちろ――墜ちろ 声が響く。 頭の中でこだまするその声はひどく不吉な響きを持っている。 この声に耳を貸してはいけない。 本能がそう告げるが、声は鳴り響く。 ――汝、永遠の眠りにつくがいい ――深い、深い眠りの世界へおちていけ 意識が朦朧としてくる、いけない、このままでは… 頭で理解しても、もはや身体が言うことを聞かない。 ひしひしと冷たい闇が迫ってくる。 ――汝の罪が裁かれる、その時まで ――深い、闇の底へと堕ちていくがいい 声は鳴り響く。 それは甘く、優しく、絡みついてくる。 ――決して目覚めることなかれ ――永遠の奈落の底で、永久の眠りへと堕ちていくがいい ――汝に神の裁きがくだるまで 脳裏によみがえるのは、大切な友の顔。 許して欲しい、この身の運命は、すでに決められているのだ。 ――その身を眠りの闇にゆだねるがいい この身は、果てしなく続く奈落の底へと堕ちていく。 全てが闇に塗りつぶされた。 *** ――声が、聞こえたんだ あいつの声が―― 何もない。 上も下もわからない、深い闇の中で。 どのくらい時間がたったのか、わからなくて、気が狂いそうだ。 何も見えない、手をかざしてみても何も見えない、ただ無限の闇がそこにはあった。 自分が本当に実在しているのかも疑わしい。 俺という存在は消えてしまったのだろうか―― だって、何も見えないんだ。 手をかざしているハズなのに、前にあるはずの手が見えない。 闇に飲まれていく、自分の身体が、闇に溶けて消えていく。 自分という存在が闇に飲まれて消えていく。 わからない。 俺は一体何者なんだ……? 誰か、誰かっ……? 叫んだ。 でも、声はでない、声が聞こえない。 闇が重たくまとわりつく。 嫌だ、こないで、怖い、闇が怖い。 誰かっ……! ――――――「   」 ……誰? ――――――「   」! ……それは、俺の名前……? ――――――「   」!! 光が、見えたんだ、初めは小さな、でもとても暖かい光が。 とても力強い、光が見えたんだ。 そう、おまえが、俺を呼び戻してくれたんだ。 『   』俺の大切な友。 ***
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