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1度何故なのか聞いた事があるけれど、私に合うからだと仰った。勿論男児が着るようなものもあるけれど。私に特にこだわりはなく、こうして女児の着物を着ると、叡雅さんが少しだけ微笑んでくださるから、よく着る。微笑んでくださると、とてもふわふわして、嬉しい…?
きっと、嬉しい。
「どうでしょう…どこか、おかしな所は…?」
『無い。似合っている。どれ、髪を結おうか』
ほら、笑って貰えた。ふわふわする。きっと、このふわふわが嬉しいなのだと思う。
緩く髪を纏められて、触れるての温かさに眠くなった。
『終わった。 食事に行こうか』
崩してしまわないようにそっと髪に触れる。編み込まれていたり、なんだか複雑で、自分で自分の髪が見えないことが残念で仕方がない。後で池に見に行けば、見えるだろうか。
今日の朝餉には初めて生のお魚が出てきた。叡雅さんが普通に召し上がるものだから、恐る恐る口に入れてみたら、とても美味しい。
「こんな、こんな食べ方があるのですね…っ。初めてです…、甘くて、口の中で溶けるようで…おいしい」
『淡雪がそこまで高揚するのは珍しいな?』
「っ……、おいしくて」
ううう…恥ず、かしい……。年甲斐もなく騒いで。怒ってるだろうか。
『ならば良かった。用意した甲斐がある。沢山お食べ』
「…ありがとうございます」
……黙々と食べて…ついに完食してしまった…。お腹が…苦しい。でも、嫌じゃない。不思議。嬉しいに似ている気もする。
『苦しいだろう?大事ないか?』
「苦しい、ですが…大丈夫です。…うう」
『くく、無理をするな。気分が優れないのならば吐いても構わん。淡雪の方が大切だ』
頬が熱い…。お腹が苦しい。何か、満たされた様な感じがする。実際にお腹は満たされているけれど。
『眠気は無いか?』
「はい。…今はまだ動けませんが、池に行こうと思うのです」
『淡雪は庭に出るのが好きか』
「好き…?」
『我が湯を好んでいる事は分かるだろう?』
「…なにとなく。尾が、揺れていらっしゃる事が多いので…」
『…そうだったか。それで、淡雪も庭は好きだろう?』
「…はい。尾があったら、きっと振ってしまいます」
この、なんと言うか、うずうず?どきどき?する様なものは、好き?
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