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第一章:ヒトを喰らう者たち
1:人々が消えた街
街は廃れていた。
ビルや家は崩れ、瓦礫が散らばり、何かの異臭がする。
赤黒い血が地面にこびりつき、人間の胴体や手足が転がっていた。
「チッ・・・くせぇな」
「・・・」
廃れた街に悪魔狩りを任務に言い渡された二人__碓井時雨(うすいしぐれ)と私、氷室やちよ(ひむろやちよ)は、周りを見渡しながら顔をしかめた。
何とも言えない臭いが漂っている。
「・・・で、悪魔の野郎はどこにいやがるんだ?」
「分からないわ、歩いていれば出てくるんじゃない?」
隣で時雨が不機嫌そうに舌打ちをした。私は無視を決め込んで腰に掛かる刀を握り締めた。悪魔の気配はするのだ。先ほどまで彷徨いていた。
悪魔もなりふり構わず襲うほど馬鹿ではない。私たちが現れたために隠れたのだろう。
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