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アジト内はひんやりとして冷たかった。ところどころ鼻に付く臭いがするのは、人間の腐ったニオイか血のニオイだろう。それに混じって精液のニオイもした。
「チッ、汚ねぇなぁ」
コツコツと私たちだけの足音が響く。そして、いくつもある壊れかかったドアを開け中を確認していった。
今のところ問題はなさそうだ。
私は他より少し綺麗になっているドアノブを手にとってドアを開けた。そして目を見開かせた。
ジャラジャラと鎖が部屋中に吊るさげられている。血がところどころ付いているのを見ると監禁場所、拷問などに使われたということが分かった。
「気色悪い。」
「なんだぁ?」
私を押し退けて時雨が中を見て顔を思いきりしかめた。
もっと奥を覗くとまだ喰べる前だったのだろう人間が吊るさげられていた。中に入り近付いた。
「・・・!」
「どうしたぁ?」
黄色い刀がポキリと折れて心臓に刺さっていた。腐敗は進んでいるが誰がどう見ても雷のA級隊士だということが分かった。
闘いに負けその上、吊る下げられ皮肉にも自分の刀で刺されたのだろう。
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