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陰
夜ー
2つの陰が月明かりに照らされている。
ふと、片方が紡ぐ
高く、高く、天に届くかのように高く、
始まりの歌を
もう片方が紡ぐ
低く、低く、地にとどろくかのように低く、
終わりの歌を
それが重なり、一つの歌となるとき、
高く、低く、宇宙に響きわたるように美しく儚く。
それは、奇跡の歌となるのか、絶望の歌となるのか、二つの陰でさえ、わからない。歌が止まると2つの陰が一つの陰になった。
「僕は、」
「ボクは、」
「見つけられるだろうか。」
「どんなに歌っても届かない君に」
「この思いを」
「この気持ちを」
「この・衝動を」
そして陰は闇に紛れるようにとけていった。
暗い裏の世界へ・・・・・・
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