さんまはざーど!

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さんまはざーど!

「神様ねー、猫になった君を苦しめる方法すぐにわかっちゃったんだよねー」  神様はガスコンロに火をつけて手際よく準備を進めている。青光りする秋刀魚は何処から来たのか分からないけどものすごく鮮度が良いことが見た目からも匂いからもわかる。  くんくん、生臭い良い香りがぁぁ鼻腔を撫で回してあむあむしたくなるにゃぁぁ……無意識に目を細め鼻をひくひく反応させてしまっている。  神様がすかさず棒切れに吊るした臭そうな靴下を僕のマズルに近づける。 「ふにゃっ、カッ!」  フレーメン反応とは、ウマなどの哺乳類に起こる、臭いに反応して唇を引きあげる生理現象である。 wikiペディアまるこぴ 「ふっ」 「かみさまぁ!!?」  大きなぬこでもフレーメン反応が存在していること、初反応に上機嫌だけどどちらかと言うと秋刀魚にフレーメン反応させたかったよ!?  ああ……神様……お塩と醤油まで……お供え物ですか? 祠、ぼろぼろでしたけど実は信仰者がいるんですか? ねこですか? 猫はいます。 「こうやって熱した網に秋刀魚を乗せると……」 「ごくりっ……」  まだ早い、耳をぴんと伸ばし視線は秋刀魚に集中してしまう。無意識に尻尾はゆらゆらと動き息が荒くなっていく。 「ぱらぱらぁ……」 「おしお……」  ここから火が通ったら美味しそうな身の香りが祠中に充満するんですよね、考えただけで涎が溢れてきます。猫がおなかをすかせて涎を垂らすのかは僕は知らないけど『ぬこ』なら涎だらだら垂らしちゃうよね、二足歩行できるし。 「そろそろだよー」 「じ、じらさないでぇ……」 「まあ君には食べさせてあげないんだけど」 「うにゃあ!?」 「よしよし、匂いだけでおなか一杯になれるように頑張ろうね」 「霞みだけで生きる仙人にでもなれと!???」 じゅわぁぁ……  秋刀魚の皮が程よく焦げ始めじんわりとしょっぱい匂いが肺にいっぱい……幸せぇ……♥  濃いしょっぱさとこってりした油の香りでおなかが満たされる気がする…… ぐうう! 「かわいい音がしたねぇ」 「うぐぐぐぐぐぐ」  神様すっごく笑顔ですね、楽しそうで何よりです、僕に秋刀魚を食べさせてください。 「食べたいねぇ」 「たべたい……ねこがみさま、たべたいです……」  我慢できなくて猫耳がひょこひょこ、尻尾もふりふりさせちゃう。喉を何回も鳴らして味を想像させてしまって「うにゃあああ!!」って鳴きながら地面をこすこすしちゃう。
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