悲恋の輝き

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 男性が私を見てふっと優しげに目を細めたとき、なんだか不思議な気持ちになりました。  今までの純粋な喜びとは違う、切ないような、ちょっぴり苦しいような。私に胸があったら、とくんと小さく鳴っていたかもしれません。 「このデザイン、いいね」  彼女の呟きに、彼も嬉しそうに言います。 「俺も同じこと考えてた。君に似合いそうだなって」  そう答えて「見せてもらう?」と尋ね、彼女がうなずくと、近くにいた店員さんに声をかけました。 「すみません。これ、ちょっと見せてもらっていいですか?」 「あっ、はい。少々お待ちください」  ショーケースから取り出された私を、ふたりはじっと見つめます。
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