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悲恋の輝き
それはたぶん、一目惚れでした。
私は、私を買っていってくださったお客様に、恋をしてしまったのです。
私はその日、いつものように、ショーケースの中で、先輩たちに負けじと一生懸命に輝いていました。ガラス越しに並んだ私たちを、じっくりと眺めて吟味する、たくさんの男性やカップル。
この人たちにいち早く選ばれて、彼らの幸せを形あるものにするのが、私に与えられた使命です。
意気込む私の前に、一組のカップルが立ち止まりました。
女性は春らしいパステルイエローのワンピース姿で、栗色の髪をひとつに束ねて、サイドをおしゃれに編み込んでいます。
一方の男性は、紺色のきっちりとしたスーツを着て、少し緊張した様子です。
ひょっとして、プロポーズの後、はたまた両親へのご挨拶の後だったりするのでしょうか。
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