悲恋の輝き

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 穢れる。  姐さんの言葉に、ふと自分を顧みます。そんなこと、本当はとうの昔に分かっていました。  私は、彼に出会ったことでたくさんのものに触れ、傷つき、穢れてしまったのです。  純粋で美しかったはずの輝きも、今ではすっかりくすんでしまいました。  けれど、どうかお願いです。  もう、嫉妬したりしないから。奥さんのいないところで、愚かな優越感に浸ったりしないから。  どうか私に、最後のチャンスをください。愛の象徴としての使命を果たすチャンスを、もう一度だけ。 「最近はさ、離婚式なんてものがあって、別れを決めると、私たちを叩き壊しちまう夫婦もいるらしい。そうならなかっただけでも、ありがたく思うことだね」  どれだけ叫んでも、祈っても、私の願いが彼に届くことは、ありませんでした。
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