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彼の澄んだ黒い瞳は、ただひたすら、吸い込まれそうなほどまっすぐに私を捉えていて、また苦しくなりました。
このままでいたい。
ほんの一瞬、そんなことを願っている自分がいました。
私へ熱い視線を注ぎ続けていたふたりでしたが、しばらくすると、お互いの思いを確かめるように顔を見合わせ、静かに微笑みます。
その姿に、やはり痛みのようなものを覚えるのは、なぜでしょうか。
こうして彼らが一点ものである私の購入を済ませ、家に持ち帰られた後も、私の心は、押しては返す波のように乱れたままでした。
*
いったい、どうしてしまったのでしょう。
白く清らかな光に照らされて、自分の出番を待ちながら、私は思います。
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