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純白のドレスを身に纏った新婦。グレーのタキシードを凛々しく着こなした新郎。
そんなふたりを誰よりも近くで祝福するのが私の使命であり、大きな夢でもあったのに。待ちわびたはずの瞬間を、どうしてこれほど暗澹たる気持ちで眺めているのでしょう。
一度選ばれたからには、この先もずっと彼らを見守り続けなければならないのに。
ぼんやりとそんなことを考えていると、新婦の親戚の女の子が差し出した私と同じデザインのものを、新郎が大事そうに受け取り、重ね合わせた新婦の左手薬指に送りました。新婦の指の付け根で輝くあの子は、何を思っているのでしょうか。
次は私の番です。今度は、新郎の親戚の女の子が差し出した私を新婦が受け取り、同じように新郎へ送ります。
彼の真剣な表情を、こんなにも間近で見られるなんて。
ささやかな幸せが私を包み込みましたが、
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