悲恋の輝き

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 何も答えられずにいると、姐さんは憐れむように乾いた笑いを漏らしました。 「やめときなって。あんなヤツのどこがいいのさ。だいたいアタシたちはね、こんな“モノ”に生まれてきちまった時点で、恋愛なんてできない運命なんだ。夢ばっかり見てると、そのうち痛い目にあうよ」  姐さんの言うことはごもっともです。正論です。けれど、理屈だけではどうにもならないこともあるのです。  あの日、たった一目で彼に魅せられてしまったように。 *  最初こそ仲睦まじかったふたりでしたが、月日を重ねるにつれてその熱々ぶりも落ち着いていき、結婚して二年が経つ頃には、一緒に過ごす時間はほとんどなくなっていました。
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