Day 2

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Day 2

 翌日、ブランチを軽く済ませた私は、執筆のため書斎に入った。するとまた電話が鳴った。 「もしもし、和久ですが」 「和久先生。私です。佐山です」 「あ〜、佐山さん⁈久しぶりじゃないですか!後任の田口さんに引き継ぎの挨拶にこられて以来ですよね?それっきり音沙汰ないからどうしたのかと思ってましたよ」 「はいそうですね。それ以来になります。ご無沙汰しております」 「どうしましたか?また私の担当に復帰されたんですか?もしそうなら、これほど喜ばしいことはない」 「なんとも勿体無いお言葉ありがとうございます。でも違うんです」 「そうか、それは残念。で、どうしました?」 「いや、実は今日用事があって外出してたんですが、たまたま先生のお宅のすぐ近くを通ったもので、懐かしさのあまりついつい電話してしまったのです」 「あ〜そうなんですね。それはそれは。で、もう帰られたんですか?」 「いや、まだ近くにおります。先生のお宅のすぐ目の前に」 「なんと!そうですか。そういうことですか。そういうことなら、よかったら家に上がってくださいよ!今すぐ降りて行きますから」  電話を切って、慌てて上着を羽織り、玄関のドアを開けた。すると、すぐ目の前に佐山さんは立っていた。 「佐山さん!もう本当に目の前だったんですね…」 「え?あ、まあ…」 「ま、どうぞ中へ中へ」  佐山さんは、小綺麗なビジネスカジュアル姿で、年齢よりも若々しく見えた。礼儀正しく一礼をすると遠慮がちに中に入った。私は、佐山さんを二階の居間に案内し、ソファーに座ってもらうと、バーカウンターで飲み物の準備に取りかかった。
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