緑の用法検討委員会

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議題 「緑の待遇改善について」 当委員会は、「緑」の形容詞化について検討議論いたしました。 その、内容を報告させていただきます。 ・「青い」「赤い」「茶色い」など、 色+い の言葉使いによって、色の様子を表現できます。 しかし、青や赤や黄などと同様に一般的な色である、「緑」に対しては「青い」や「赤い」などに対応する表現がありません。 そのような、「緑」の表現方法に対する疑問や苦情が、当委員会に多数よせられました。 その一部を紹介します。 53歳会社員 「新緑を見て、緑と思ったのに ‘葉が青い’ と言ってしまう。」 28歳主婦 「昔から、信号の緑が、青いと言われる性で、子供に不要な疑問を与える。」 30歳教師 「交通学習で私が『青信号』と言うと、毎年必ず児童からの『信号は緑』という屁理屈を聞かなければならない。」 47歳自営業 「なぜ、ミドレンジャーでミドリレンジャーじゃないんだと子供時代からのトラウマになっている。」 ここに紹介した苦情は一部ですが、同様の投書は多数寄せられました。 ・そこで、我々は「緑」の待遇改善を目的に議論を重ねました。 まず、なぜ緑は、青いや赤いのように形容詞として表現されないのかを考えました。 そして、有識者、専門家により三つの説が提唱されました。 原色論・・語尾に「い」を伴って形容詞になる「赤」「黒」「黄」などの色はそれ独自の色であって「緑」のように青と黄を混ぜ合わせた色ではなく、そのような混合色ゆえに「緑い」または「緑色い」と表現されない。        黄緑論・・緑に黄を合わせて黄緑が存在するので、その問題が黄緑までに派生してしまうことへの懸念により、「緑い」または「緑色い」と表現されない。 音論・・・「青、赤、白、黒」は アオ、アカのようにと二音。「黄、茶」はキ、チャと一音 二音の色は「青い、赤い」、一音の色は語尾に色を伴って「黄色い、茶色い」と 言い表されるが、三音の緑は語呂がわるく「緑い」または「緑色い」と言いにくいので 表現されない。   しかし、それぞれの説とも決め手を欠いておりどれも推論の域をでませんでした。 まず、「原色論」に関しては、茶色は赤と黒を混ぜ合わせた色であるにもかかわらず「茶色い」という言葉がある。 「黄緑色論」に関しては、赤茶色が存在する。 一番有力な「音論」に関しては、最近の傾向として「ピンクい」という造語ができつつあり、「緑い」の前に「ピンクい」が一般的になるのは、色の世間の認知度から言って疑問である。 (もっとも、「ピンク」は「桃色」の外来語であり、和語である「緑」と比較することが適当かどうかは議論の余地はある) ・一番有力である「音論」を元にして我々は、一つの「緑」の待遇改善改革案を提示するにいたりました。 三音の「緑(ミドリ)」を「緑い(ミドリい)」「緑色い(ミドリイロい)」と発音するのでなく、 「ミドい」「ミイロい」と発音する。または、音読みをして「リョクい」、ピンクと同様に外来語読みをして「グリーンい」と発音する。 このような議論を経て、当委員会は「緑」の待遇改善を祈念して「緑」を形容詞化を提唱するに至った事を報告させていただきます。 次の議題は「紫」についての待遇改善について検討です。  《緑の形容詞用法検討委員会》
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