五丁目さん&束砂さんのばーすでぃちょっと前 クリスマス近くの一幕

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五丁目さん&束砂さんのばーすでぃちょっと前 クリスマス近くの一幕

「私、今年は誕生日プレゼントいらないです……」 十二月の撮影があったある日、束砂さんはみんなの前でそんなことを口にした。最近五丁目さんは撮影をこなしながらも忙しく駆け回り、その場に五丁目さんはいなかった。 「五丁目さんの故郷が大変なのに、誕生日に浮かれてなどおれませぬ……」 今年の台風で五丁目さんの故郷は甚大な被害を受けた。それがあり年末のこの時季も五丁目さんは忙しく駆け回っている。 「でもさ!でもさ!それは束やんが誕生日祝わなかったからどうにかなる問題でもないでしょ!?」 束砂さんの一応兄貴分のげたんわくんが宥めるように言葉を飛ばした。 「そうだよ!沈んだって仕方ないでしょ!?」 更紗さんも強く言い放つ。 「ここは五丁目さんの気持ちが軽くなるように水着美女の写真集を贈っては?」 親父が空気を読まなかったせいで、瑠璃くんはいち早くかかと落としを親父の頭に叩き込んだ。 「どうあってもいりませぬ!!」 束砂さんはそう言い放ちとぼとぼとスタジオを出ていった。 「どうしよう……」 うたうものさんが天を仰ぐ。束砂さんを抜かして五丁目さんだけ祝うことなど、皆にはできない。 「そう心配する必要ないさ」 伊織先生が今日撮影した写真のチェックをしながら、そう漏らす。 「誕生会は普通にやる。やらない選択肢はみんなにはないだろう?」 「そうですな。そんな選択肢はありません」 伊織先生に続いてタッくんもそう漏らした。
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