四話 [コティア]

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21XX年2月1日PM11:30 大学病院 病室 暗闇の中 中央に一つだけ小さな光があった その小さな光の中には 一人の少女が泣いていた その少女の表情は顔面蒼白で目の前の悲惨な光景に 恐怖や孤独で今にも消えそうな儚げな少女に見えた そんな少女の目の前には大人で可憐な女性が横たわっていた よく見てみると 彼女の下腹部には広範囲で赤く染まり 大量の血が流れていて 目の前で泣いてる少女の手も真っ赤に染まっていた 少女は泣き叫び続け しばらくすると感情を失ったようにピタッと泣き止み 母親をじっと見つめ始めた するとさっきまで泣いていた少女はふいに 不敵な笑みを浮かべ 母親の下腹部に手を突っ込み 肉や内蔵を食べ始めた… 無我夢中で女性を食べている… しばらくすると 女性の原形は無くなり骨だけが残った… そして… さっきまで少女だった子は姿を変え… [ふふふ] 不敵な笑みを浮かべると直ぐにこっちに向かって押し寄せる…! が 「わっ!?!?!?」 ハァハァと息を荒くして飛び起きる 「夢…?」 息が荒く軽く呼吸困難になっていた すると 横から10代後半くらいの男の子が現れ 背中を優しく擦る 「大丈夫?」と優しく声をかけ ナースコールを押し看護師を呼び出した 男の子はビニール袋を取り出し 口元に運び「ゆっくり呼吸して」と優しく指示をする 息を整えるようにゆっくり深呼吸をしていると 看護師が到着し適切な治療が行われ すっかり息も整い横になり休んでいた すると 手を握ってくれている男の子に優しく声をかけた 「ありがとう。僕は生きていたんだね」 そんな問いかけに男の子は 「良かった…本当に。 無事で何よりだよ。...パパ」 息を荒くしていたのはカナタで 優しく看病していたのは息子のケイヤだった キングに刺された後 丁度よくハーフ組織が駆け付けケイヤが発見し 直ぐに応急処置をして病院へ運んでいた 「ケイヤが助けてくれたんだね。 本当に君は最高の息子だよ」 優しく微笑みかけ褒める 「パパ…死なないで。 もうこれ以上 悲し想いはしたくない」 ケイヤは更に強く手を握った 「僕にはケイヤが居るから大丈夫。 死ぬ訳には行かないよ」 カナタも強く握り返した 「そういえばパパ平気? 凄くうなされていたから」 ケイヤは心配そうに問いかける 「うん。なんか凄く怖い夢を見てしまって… 少女が人を食べてて… さすがの鬼でも人は食べないから怖くって」 カナタの表情は強ばっていた 「人を食べる…それは不吉だね。どうして。 …でも、ただの夢だから安心して。 もうパパには予知夢を見る力は無いんだから」 ケイヤはニコっとカナタを安心させた しかし 「え、なんで僕が予知夢を見れた事を知ってるの?話した事ないのに」 カナタは不思議そうに頭を傾げていた 「あーママから聞いたんだよ。 俺はパパが大好きだから。 なんでも知りたいんだ」 更にニコっとし話した カナタは嬉しそうに照れていた 二人はしばらく何でも無い事を話し 親子の時間を過ごした するとカナタから 「キングはどうなったか知ってる?」と ケイヤに現状を聞いた 「うん…残念ながらキングは無実になったよ。 あれはただの事故で処理された。 よってE.D.Oもハーフ組織もキングは裁けない」 ケイヤは下を向き悔しそうに話した キングがカナタを刺した事実は何人もの証言で実証されE.D.Oやハーフ組織が提示した しかし キングは権力を使い何も無かった事にしてしまった よってキングは処分どころか なんでも許されてしまう事を知り その事でつけあがり変死体の事やカナタを刺した件をTwinQuartersの罪を着させようとしている事がケイヤから告げられる それに対しカナタは 「そんな…!?いい加減にしてくれよ… もうこれ以上、黙ってはいられない…!」 そう言うと無理やり起き出しベッドから降りようとする しかし ケイヤは椅子から立ち上がりカナタを止め 「パパ! 気持ちは凄くわかるけど今は落ち着いて…! 俺がどうにかするから!まだ頑張るから。 絶対にそんな事はさせないから…ね?」 必死に説得しカナタを落ち着かせ横にさせた しばらくして眠りに入る ちゃんとカナタが安心して深い眠りにつくまで ずっと隣に居た 1時間くらい経った頃 ぐっすり寝た事を確認するとケイヤは病室を後にした
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