四話 [コティア]

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21XX年2月2日 PM11:00 大学病院 屋上 こんな夜遅くに寒い中 車椅子に乗り街を眺めているカナタが居た そばにはハーフメンバーでもある ハヤテが柵の向こうに足を外に出し座っていた 「どうだった? 変死体の行方はわかった?」 カナタはハヤテに問う 「残念ながらお前のガキでも足取りは掴めなかった…いい所までは行ったと思う。 だけど何者かに邪魔された気がするんだよな。 明らかにおかしいんだよ」 不機嫌そうに返す 「僕もTwinQuartersに連絡をとっても、 何もつかめずだった。 あんなに派手に現れるのに証拠ひとつ残さないなんて…」 フェンスを掴み悔やんでいる 「カナタ…」 ハヤテが深刻そうに声かける 「わかってる…ちゃんと疑うから。 しっかりと調べるからもう少し待って欲しい」 カナタは何かを悟り答える 「信じたい気持ちはわかる。 もし俺でもカナタと同じ事をする。 だけど、白黒はハッキリしないと、 犠牲者は増え続ける…! たとえ…「本当にわかってるから」 …だったらいいけどよ」 ハヤテが話してる途中でカナタが割り込む 「あんな優しい子が出来るはずが無いんだ。 早く証拠を掴み元凶を暴かなくっちゃ。 入院なんかしてる場合じゃない」 カナタはそう言うと車椅子から降り立ち上がった 「無理すんなよ。 お前はもう人間なんだからよ」 ハヤテがフェンスを越えカナタの横に立つ 「わかってる。 かーくんが惜しいけど仕方ない。 全部 僕の弱さのせいなんだから…」 再び車椅子に座った 「あーそういえば、 クイーンが動き出した。 あいつらやっぱ夫婦だわ。 クソすぎる…!なんでも金で解決しやがる」 ハヤテは拳を握りフェンスを殴ると 一部が破損し吹っ飛んだ 「直せよ…」 つい口が悪くなるカナタ 「わかってるから黙れ」 吹っ飛んだフェンスを取りに飛び出したが 直ぐにフェンスを片手に持ち戻ってきた すると 後ろから人影が走ってきてハヤテの真後ろで止まり 「もう、 そうやって直ぐに物に当たるのやめたら?」 怒りながら注意するのは妻のレイカだった 「おま!なんでここに居んだんよ! 面接時間とっくに終わってるぞ!帰れ!」 レイカを追い返そうとするが 「あんたはそんな面接時間外にこんな所で何してる訳? 今日はシュートと三人でご飯食べる約束してたよね?」 レイカが叱る 「大事な話に決まってるだろうが! 俺がカナタに会うなんて超重要あんこだろうがよっ!」 レイカに怒鳴りながら返す しかし 「ハヤテ…案件ね」 カナタが冷静にツッコム 「あ、カナタくんごめんね。 怪我はもう大丈夫なの?」 ハヤテを無視しカナタへ話しかける 「うん、おかげさまで良くなったよ。 直ぐに復帰できるみたい」 優しくレイカへ返す 「良かった… ちゃんと治ったら頼みたい事があるんだ。 その時にまた会いに来るね!またね!」 レイカも優しく返す しかしハヤテは 「お前がなんでカナタに用があるんだよ?あ? 俺じゃダメなんか?あ?」 喧嘩腰で問いかける 「はぁ…本当になんでこんな奴を好きになり、 結婚なんかしてしまったのだろうか…… 純粋で真っ直ぐにカナタくんに恋していた、 あの頃に戻りたいよ」 ため息をつき歩き出した 「おま!さらっとカミングカウントすんなよ! 待てって!」 レイカを追いかけ去って行った 「カミングアウトね…何も変わってないなぁ。 あの頃は辛かったけど楽しかったなー。 早く平和な国になればいいな」 空に目を向け星を眺めながらつぶやいた すると 「もうとっくに就寝の時間ですよ」 後ろからコティアが優しく声をかけてきた 「あ、ごめんなさい! 直ぐに寝ますね。おやすみなさい」 カナタは慌てて車椅子を動かし出入口に向かう すると コティアはカナタの元へ走りハンドルを握り 「しょうがないので手伝います。 美味しい空気、吸えました?」 車椅子を押し楽しく話ながら病室へと戻る
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