02. レイナ

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「女の子のご指名はございますか?」 顔に似合わぬ 黒いベストと蝶ネクタイのおじさんは 女の子が写った冊子を渡してくれたが どの写真を見ても何だかパッとしない どの娘も同じようにかわいいのだが 平面的な画像からは何も伝わってこない。 「特にないです、おまかせでいいですよ」 「じゃ、フリーでよろしいですか?今こちらのお二人ならすぐご案内できますが…」 そう言って見せられた2枚の写真 そこには 美咲 (21) レイナ (26) そう名前の記された2人の女の子が 笑っていた。 レイナ…って 元カノと同じ名前の娘がいるなんて 何だかイヤミな店だな そう思った瞬間 「え?」となった さっきまで見ていた写真の女の子たちの ほとんどが20代前半だったが レイナだけが26歳 同い年じゃないか。 よほどの理由があってこのお店で 働いているのだろうか? 「…例えば、ですね、話してて楽しいんだけど いざとなったら豹変するって言うか、そんな娘はどっちですか?」 「お客さん、いいとこついてきますねぇ それならレイナさんがぴったりですよ」 「じゃお願いします、こちらの(かた)で」 決して名前で選んだ訳ではない、 どうせ一期一会だ せっかくなら楽しく過ごしたい そう思って店員に聞いただけの話だった。
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