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階段を昇りきると
暖簾のすぐ向こうに鎮座して
三つ指をついて出迎えてくれる
ひとつのシルエットがぼんやりと浮かび
ほどなく視界に飛び込んできたのは
真っ白なシルクのバスローブを身に纏った
小柄な女の子だった。
「いらっしゃいませ、ありがとうございます
レイナです」
「よろしくお願いしまーす」
「このお店、初めて来られたの?」
「うん、この系統のお店が初体験でね」
内藤と話していた時とは
明らかに違うテンションの俺がそこにいた、
すっかり我を忘れている。
「あ!うれしいな、私がお相手でよかった?」
「もう全然!」
「ふふっ、ありがと」
そう言って軽く身を翻したレイナの軀からは
ほんの少しだけ淡い石鹸の香りが漂っていた。
ナチュラルメイクに
細身でしなやかそうな体躯、
少し猫目の瞳はくっきりとした二重瞼で
背中まである長い黒髪。
20代半ばとは思えない童顔に
明るいトーンの話し方、
これは全てにおいてストライクかも知れない、
俺は久しぶりに鼓動が高鳴った。
「じゃ、行きましょ」
レイナはそのしなやかな指を
俺の指に絡ませると
手を引いて廊下の角にある一室へと誘った。
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