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 その内、山麓に来た武志は、怠慢なので楽をして造ろうと思って木を伐採することを怠り、藁だけで拵えた家に住んでいると、十五夜の晩、狼男にいとも簡単に家を壊され、自身は食われてしまいました。  もう一人、川辺に来た蔵志は、武志よりはましでしたが、怠慢には違いないので矢張り楽をして造ろうと思って木を伐採することを怠り、木の枝だけで拵えた家に住んでいると、同日の晩、案の定、狼男に簡単に家を壊され、自身は食われてしまいました。  あと一人、森近くに来た武蔵は、堅実で真面目な性格なので苦労を惜しまず、沢山木を伐採してしっかりした家を拵えました。  ですから狼男は同日の晩、武志、蔵志に続いて武蔵を食いに行きましたが、家が頑丈なので武蔵に手出しすらできませんでした。  それで狼男は悔しくなってせめて脅してやろうとこう叫びました。 「俺様はお前の兄弟を食い殺してやった狼男だぞ!だからいつかお前も食い殺してやる!」  当然の如く武蔵は怯えましたが、家の中に居さえすれば大丈夫だと思いました。
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