焦れったい恋

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 ナオミは中学生になった。小学生の時は1番前の方だったのにクラスで2番目に背が高くなる。お母さんが背が高いので似たのだろう。ユウタくんはあまり身長が伸びなかったので変わらないくらい大きくなった。でも相変わらず仲良しでクラスは違ったが忘れ物なんかを貸し合う仲になっていた。 「ナオミちゃん、数学のノート見せてよ」 「またあ、ユウタくん、ちゃんと授業を受けないとダメだよ」 「うん、分かってるんだけど、眠くてついついさ」 「また寝たの?」 「部活がハードなんだよ」  ユウタくんは中学に上がってもサッカーを続けていて、いまやサッカー部のエースだ。だから女の子にはモテる。同じクラスの子で知ってるだけでも5人はユウタくんのことが好きだ。ナオミは運動音痴なので美術部だ。週に3回だけ活動をしている。 「ナオミはユウタくんと仲がいいよね。付き合ってるの?」  友達に聞かれ、まさかと思って手をブンブンと振る。 「ナオミはさ、小さい時から仲良しみたいだよ」  優真ちゃんが笑顔で会話に加わる。 「そうなの、腐れ縁ってやつ」  口ではそう言うが、本当は付き合ってほしい。ユウタくんはどう思っているのだろうか。ただの幼馴染なだけなんだろうか。  ナオミの家はお父さんが家具のデザイナーをやっていて会社が渋谷にある。中学生にとっては渋谷は憧れの地だ。一度でいいから連れてってほしいと駄々をこねたら案外と簡単にOKしてくれた。 「じゃあ、明日の土曜日に出勤する予定の男の子がいるから一緒に行ってみるかい?」 「男の子?子供がいるの?」 「ハハハ、お父さんにとっては子供なんだ。大学を出たばかりのデザイナーの卵だよ」  お父さんは白い歯を見せて笑う。ナオミは嬉しくなってお母さんに「お母さんも行く?」と聞いた。 「お母さんは色々と用事があるから2人だけでいってらっしゃい」 「そうなんだ。じゃあ、お父さんと2人で渋谷デートだ!」  ナオミは満面の笑みで喜んだ。
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