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彼女、陽離とは幼稚園の頃からの付き合いで早十二年。
干支が一回りするくらい、長い付き合いだ。
嫌いな訳じゃない。でも、苦手だ。
それを誰もわかってくれない。
陽離は僕に眩しすぎた。
太陽に焦がれ焼け死ぬように、僕の心も陽離に焼かれるように荒んでいく。
陽離が人気者になればなるほど、僕は孤独になった。
闇は光に照らされ消えてしまう。
眩しすぎる光は影すら作らせない。
――ああ、このままじゃ、僕は……。
誰の記憶にも残らず消えていく。
それ自体は別にどうでも良かった。
目立ちたかった訳じゃない。陽離のようにちやほやされたいわけでもない。
この気持ちを彼女に知られることだけが怖かった。
好きな訳じゃない。嫌いな訳じゃない。
ただただ、強く憧れ、妬み、そして自己嫌悪した。
――嫉妬、侮蔑、嘲笑、憤怒、そして……。
「ああ、もう、耐えられない」
僕の心は限界だった。
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