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夜の学校。
僕たちの教室。
人によっては思い入れのある場所。
僕にとっては苦痛しか生まなかった場所。
そこに陽離を呼び出す。
話があるといったら彼女は何も聞かずに来てくれた。
「みーくん?」
「ひーちゃん」
お互いにあだ名で呼ぶ。
こっそり家を抜け出したのだろう彼女は、ラフな格好だった。
対して僕は制服のまま。
「何かな、みーくん。もしかして……」
「ごめんね、ひーちゃん。さよならなんだ」
告白だとでも思ったのだろうか。
少しだけ頬を赤らめた陽離の胸に、僕は家から持ち出した包丁を深く深く突き立てた。
赤い滴がポタポタと溢れる。
一度包丁を引き抜き、もう一度同じ場所を刺す。
飛び散った赤が月明かりに照らされて、輝きながら落ちていく。
陽離の身体は赤い水溜まりの上に崩れ落ちた。
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