光と闇

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光と闇

集団で活動する学校が苦手だった。 苦手というより、嫌悪していると言った方が正しいのかもしれない。 何でもグループで行動、そのやり方が俺には苦痛だった。 苛められたりしているわけではないのだけれど、それでも集団の中に押し込められるような環境が嫌なのだ。 それでも、義務なのだから行かなくてはならない。 吐き気がする。気持ちが悪いと言うことではなく、腹の底から沸き上がってくる嫌悪感によるものだ。 死にたいと思った時期もあった。自殺についてもインターネットで調べたりしていた。 けれど、僕は何一つ踏み出すことが出来ずに留まっている。 結局、僕は臆病なのだ。 集団に馴染めない。かといって、一人で自棄になることもできない。 嫌悪感と苛立ちを押さえて、俯いて周りを見ないようにしているだけ。 そんな僕に声を掛けてくるのは幼馴染みの天道(てんどう)陽離(ひかり)くらいだ。 名前の通り、太陽のように明るく眩しい彼女。 僕の名前が倉本(くらもと)夜弥(やみ)……暗闇なのに対して、彼女は天の光。 比べられることすら吐き気がする。
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