13人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
室内
清潔を象徴する純白の内装。
その中央、壁寄りに設置されたベッドを10人以上が取り囲んでいる。
聞こえるのは「頑張れ」や「お願い」や「死なないで」の声と規則的な機械音のみ。停滞した空気は人々がこの時の停止を願う故に起きる現象なのかも知れない。
目は開かない。手の指も動かない。脚も首もびくともしない。
呼吸が苦しい、お腹は張り裂けているかも。背骨は折れてるっぽいし頭蓋骨はひび割れてるかな。
僕の体で辛うじて機能しているのは脳と心臓と、鼓膜だけだ。
母さんの泣き声はキンキンしてうるさい、父さんは無言だけど鼻をすする音が聞えるなぁ、じじちゃんばあちゃんまでいるのか、久しぶりに会うね。
あー、なんか長い夢を見た気がする。
中途半端なとこで終わっちゃったし、また続きでも見ようかな――
脇に置かれたの機械から、規則性が崩れた単調な高音が鳴り続ける。
同時に涙と叫びが部屋を飛び交った。
最初のコメントを投稿しよう!