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第1話 おはよう
――100億5657年
―地球上のどこかの都市・橋桁の高速道路―
ほとんど崩れ落ちた橋の高速道路に、
人が一人入れるほどの大きさのカプセルがひとつあった。
長方体の機械にガラスの筒が埋め込まれたような見た目だった。
ガラスの筒の中には、一人の少女が気持ち良さそうに眠っていた。
腰まであるほどのエメラルドグリーンのロングストレート、
頭の上には髪色と同じ色の狐の耳が生えている。
服装は、裾の長い青いキャミソール、
黒いタイツ、
靴は茶色のローファーを履いている。
突然、カプセルからアナウンスのようなものが鳴った。
『"システムチェック
コア:正常
エネルギー:100%
首接続部:正常
右腕接続:正常
左腕接続:正常
右足接続:正常
左足接続:正常
マイク:正常
スピーカー:正常
カメラ:正常
フィルター:正常
メモリー:破損
思考回路:正常"』
『"メモリー
破損率99,5%
早急な取り替えを推奨する。
システムチェックによるログは、
本機体起動後、
本機体のメモリーに送信される。
BABB型アンドロイド
試作型37号-Bタイプ
機体名〈ラピス〉起動"』
アナウンスのようなものが鳴った後、
カプセルの蓋が開いた。
そして、カプセルの中にいた少女が起き上がった。
起き上がった少女は、背伸びをした。
「うーーーん!」
背伸びをした後、少女は辺りを見回した。
「ここは?
わたしのおなまえは……おなまえは……
えーとわたしのおなまえはなっだっけ?
えーと、わたしのおなまえは……
ラ…ラ……ラ………ピ
ラ…ピ
ラピ……ラピ………ラピ……………ス
ラピ…ス
ラピス
ラピス!
そう!わたしのおなまえはラピス!」
彼女の名前はラピス。
100億3593年前につくられた女性型アンドロイドである。
メモリーの破損により、
見た目は16歳くらいの少女だが、
精神は5歳くらいになってしまった。
ラピスはカプセルから出た。
そして、ラピスは再び辺りを見回した。
「あれ?みんなは?」
ラピスは近くに誰もいないと知ると、
急に泣き出しそうになった。
「うぅ……ひぐ……ぐす……
みんな……どごいっぢゃっだの?」
だがラピスはすぐに泣くのを止め、
元気に言った。
「そうだ!みんなをさがすためにおさんぽにいこう!
きっとみんなはどこかにいる!
どこかでわたしをまっている!
いかなくちゃ!」
ラピスは、
崩れた橋の高速道路の坂になってるところから、橋の高速道路を降りた。
高速道路を降りると、すぐそこにT字道路に出た。
ラピスは、突き当たりまで着くと、
左右を見て言った。
「どこからいこっかな?」
ラピスはしばらく迷った後、
左側に行くことに決めた。
左側の道をしばらく歩いていると、
小さな川が見えてきた。
小さな川を見つけたラピスは、
目を輝かせて見ていた。
「キラキラしてる!」
しばらくラピスが川を見ていると、
近くに橋を見つけた。
ラピスは橋へ移動し、
橋の上で再び川を見た。
ラピスは川がキレイだということに感激し、
その場で何度か飛び跳ねた。
そしてまた、しばらくラピスが川を見ていると、
ラピスは目的を思い出した。
「そうだ!みんなをさがさなくちゃ!」
ラピスは来た道を戻り、T字道路のところまで戻った。
ラピスは、今度は右側に行くことに決めた。
辺りは少しずつ暗くなっていった。
第1話 おはよう end
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