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ある隣国の王子が軍隊を率いて、国境地帯の鬱蒼と生い茂る森林地帯まできました。通行は不可能と呼ばれている場所です。
しかし、軍隊は、獣道を通り抜け始めました。
事前に手紙でお姫さまとやり取りをして、国家機密の複数ある抜け道のひとつは、知っていたのです。
城下は奇襲攻撃を受けました。お城の門番は、急いで跳ね橋を上げます。
お城は陸の孤島となりましたが、食料、武器の備蓄も充分にあったのです。堅牢なお城を攻め落とすのは、隣国の王子の軍隊では無理なはずでした。
「書類を燃やすのです。万が一にも敵の手に渡ってはなりません」
城壁の内側では、お姫さまの号令一下、国の機密書類が、役人や兵士の手によって、中庭の焚き火に放り込まれます。
国境の森林を抜ける道の地図なども、燃やされました。また、国の一番精密な地図も燃やされます。
中庭付近の納屋に王さまを先頭に家族三人は、足を踏み入れます。隠し扉を王さまが開けました。そこには王家に伝わる秘伝の巻物もあります。
お姫さまは巻物を広げて、目を丸くしていました。
「おお、それが魔法薬の製法書だ。これがったから、そなたが勉学に励むようになったのう」
護衛の兵士に守れらた王さまは、お姫さまに笑っていました。お姫さまは、愛想良く、相槌を打ちました。
「姫は心配性だのう。城は難攻不落、大丈夫だ。地図を燃やすのは関心できないな」
「お父さま、油断は禁物ですわ。過信によって滅んだ国もございます。地図は全てわたくしの頭に入ってます」
「まあ、聡明なそたなの言う通りにしよう。好きにするが良い」
お城の地下には、緊急脱出用の隠しトンネルが網の目のように、城下町まで張り巡らしてありました。
前もって、お姫さまが、隣国の王子に、トンネルの出入り口を一部だけ教えていたのです。
王子の軍隊は、夜更けに、城壁近くの古い井戸から、内部に侵入しました。お姫さまが、縄ばしごを、井戸にかけておいたのです。
難攻不落と高を括っていたお城内の軍勢は、想定外の攻撃にアリの巣を突いたような大騒ぎです。
王子の軍隊は、真っ先に、中庭の横にある納屋に、火を放ちます。
乾燥した木造の納屋は、炎を上げていました。緊急時に王さまと王妃さまが、隠れることになっている場所でした。
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