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別れ
別荘へ帰ると、
僕はホーッと、
溜息をついた。
そんな僕を、
望さんがギュッと抱き締める。
「これで柊は俺一人のものだ・・・」
陶酔するように囁く望さん。
僕は、その胸に頬をすり寄せた。
いいんだ・・・
これでいいんだ・・・
そう思って居たのに・・・
「ごめんね、柊。今日は都内のホテルに泊まるから。明日、そっちへ帰るよ。」
「は、はい・・・分かりました。」
望さんが、
月に何日も、
別荘に帰らない日が多くなった。
その間、
僕は連れてこられた碧と二人きり・・・
僕は碧を抱っこして、
遠くを見つめた。
「碧・・・僕と君、二人しかこの世に居ないみたいだね・・・」
この別荘の近隣には建物は無い。
誰にも会うことは無い。
そんなところに一人きり・・・
望さんは帰って来ない。
僕は、
つい、
寂しくなって、
スマホで安堂くんに電話を入れていた。
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