別れ

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安堂くんは、 車でやって来た。 免許・・・ 取ったんだなぁ・・・ 「飛永!!」 インターホンが鳴ってドアを開けると、 安堂くんが僕を抱き締めた。 え・・・ だ、ダメ・・・ でも・・・ ちょっと嬉しい・・・ いや、 こんな考えを持ってはいけない・・・ 僕は身を捩って安堂くんの腕から逃れた。 それでも、 懐かしそうな笑顔を浮かべてくれてる。 僕も自然と、 笑顔になった。 「入っても、いいか?」 「あ、う、うん。の、望さんはいつ帰ってくるか分からないから・・・多分、だ、大丈夫・・・」 僕は安堂くんを家へと招き入れた。 「おお、なんだかすごい豪邸だな・・・」 安堂くんが部屋の中を見渡して感嘆する。 僕も・・・ 僕もそう思うよ。 僕なんかには勿体ないって。 碧が、 にゃお、と言って、 僕の足下にすり寄ってきた。 「碧・・・安堂くん、だよ?」 「可愛いな、碧って、言うんだな。この子が居れば、それほど寂しくは無いか?」 その問いに、 僕は答えられなかった。
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