79人が本棚に入れています
本棚に追加
僕にお茶をいれてくれて、
安堂くんは傍に座った。
「飛永・・・望さん・・・と何かあったんだろ・・・」
僕は、
何も答えられなかった。
僕と望さんを繋ぐもの?
そんなものなんて一つも無い。
僕は言われるがまま、
されるがままに、
望さんと一緒に住んでいた。
僕に変わった点などは無い・・・
あったとしたら、
望さんが帰って来なくなったこと・・・
僕にはその原因がなんだか分からない。
僕に、
もう、
飽きてしまったんだろうと思う。
「望さんが・・・僕にあ、飽きたんだろう・・・と・・・お、思う・・・」
僕はなんとかこれだけ言葉に出来た。
「でも飛永・・・望さんだけがお前の世界に居ればいいのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「そうじゃ無いんだろ?望さんに、お前も、不満を持ってた。」
「ふ、不満だなんて・・・ぼ、僕にとっては、の、望さんは、全ての支えになっていたんだ・・・よ・・・それが急に・・・目の前から、い、居なくなって・・・望さん・・・じょ、女性と関係を持ったんだって・・・きっと・・・だ、だから・・・僕が要らなくなったんだと・・・思う・・・」
僕がそう言うと、
安堂くんはふぅっと、
溜息をついた。
「それは違うと思う。望さんは、今でもお前のことが好きだよ。」
なんで?
なんでそう思うの?
僕よりも望さんのこと知ってるような口ぶりで・・・
君よりも僕の方が望さんに関しては知ってるつもりだよ・・・
「何があっても、お前が居るあの別荘?に戻ってくる。もしもお前に愛想が尽きたなら、戻ってなど来ないだろう。」
「君は・・・な、何も望さんのことを知らないだけ・・・」
「いや、端から見てれば分かる。望さんがどれだけお前に夢中か、ってことを。」
「嘘だ・・・の、望さんにはもう、女性の彼女さんが、で、出来た・・・んだ・・・だからもう、ぼ、僕は・・・要らないんだ・・・」
そこで会話が途切れる。
何を言っても無駄だとばかりに、
安堂くんは立ち上がった。
「風呂、入って来い。その間に、何か食べる物用意するから。」
「な、なんで・・・そんなに、親切にしてくれるの・・・?」
僕は聞いてはならないことを聞いたんだろうか?
安堂くんが僕から目を逸らした。
「お前のことが好きだからに決まってるだろ。」
僕の事・・・まだ好きで居てくれたの?
僕は、
顔を上げて安堂くんの顔を見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!