別れ

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僕にお茶をいれてくれて、 安堂くんは傍に座った。 「飛永・・・望さん・・・と何かあったんだろ・・・」 僕は、 何も答えられなかった。 僕と望さんを繋ぐもの? そんなものなんて一つも無い。 僕は言われるがまま、 されるがままに、 望さんと一緒に住んでいた。 僕に変わった点などは無い・・・ あったとしたら、 望さんが帰って来なくなったこと・・・ 僕にはその原因がなんだか分からない。 僕に、 もう、 飽きてしまったんだろうと思う。 「望さんが・・・僕にあ、飽きたんだろう・・・と・・・お、思う・・・」 僕はなんとかこれだけ言葉に出来た。 「でも飛永・・・望さんだけがお前の世界に居ればいいのか?」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 「そうじゃ無いんだろ?望さんに、お前も、不満を持ってた。」 「ふ、不満だなんて・・・ぼ、僕にとっては、の、望さんは、全ての支えになっていたんだ・・・よ・・・それが急に・・・目の前から、い、居なくなって・・・望さん・・・じょ、女性と関係を持ったんだって・・・きっと・・・だ、だから・・・僕が要らなくなったんだと・・・思う・・・」 僕がそう言うと、 安堂くんはふぅっと、 溜息をついた。 「それは違うと思う。望さんは、今でもお前のことが好きだよ。」 なんで? なんでそう思うの? 僕よりも望さんのこと知ってるような口ぶりで・・・ 君よりも僕の方が望さんに関しては知ってるつもりだよ・・・ 「何があっても、お前が居るあの別荘?に戻ってくる。もしもお前に愛想が尽きたなら、戻ってなど来ないだろう。」 「君は・・・な、何も望さんのことを知らないだけ・・・」 「いや、端から見てれば分かる。望さんがどれだけお前に夢中か、ってことを。」 「嘘だ・・・の、望さんにはもう、女性の彼女さんが、で、出来た・・・んだ・・・だからもう、ぼ、僕は・・・要らないんだ・・・」 そこで会話が途切れる。 何を言っても無駄だとばかりに、 安堂くんは立ち上がった。 「風呂、入って来い。その間に、何か食べる物用意するから。」 「な、なんで・・・そんなに、親切にしてくれるの・・・?」 僕は聞いてはならないことを聞いたんだろうか? 安堂くんが僕から目を逸らした。 「お前のことが好きだからに決まってるだろ。」 僕の事・・・まだ好きで居てくれたの? 僕は、 顔を上げて安堂くんの顔を見つめた。
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