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「じゃ、じゃあ、ぼ、僕を・・・あげる・・・安堂くんに・・・あげ、る・・・」
もう何日も抱かれてない体。
して欲しいとは言わないけど、
安堂くんには僕をあげるのが一番だと思ったんだ。
抱かれるのが・・・一番なんだと・・・浅はかさに自分でも反吐が出る・・・
「望さんが一番のお前を抱くことは・・・出来ないよ・・・もし、もしも、俺のことを好きだって言ってくれるなら・・・その時は・・・遠慮はしない。」
安堂くんはそう言って、
風呂を沸かしに行った。
僕の瞳から、
涙が零れ落ちた。
何粒も何粒も・・・
溢れる涙を止めようも無かった。
安堂くんはそんな僕に目をくれると、
傍に来て僕を抱き締めてくれた。
「飛永・・・俺のことを好きになって・・・望さんのことはもう・・・忘れて・・・」
切ない声・・・
暖かい腕・・・胸・・・
僕は、
望さんと別れることになるんだろうか・・・
安堂くんのことは、
好きだ。
望さんに似ている・・・
でもそんな理由で安堂くんの腕を取ることは、
安堂くんに失礼な気がした。
僕がカタカタと震えるのを見ると、
安堂くんは僕からパッと腕を離した。
「ごめん・・・弱ってる時に・・・冷静になってからでいい・・・考えてみて・・・」
「う・・・ん・・・・・・・・ありがとう・・・安堂くん・・・」
しばし、
僕らは見つめ合った。
僕は、
その目から目を離すことは出来なかった。
安堂くんは僕を好き・・・
素直に嬉しいと思った。
でも・・・
じゃあ望さんのことは?・・・
もう、
忘れてもいいの?
いいや・・・
忘れる事なんて出来ない。
そうしている内に、
風呂が沸いた音がした。
「風呂、入っておいで。その前に水でも飲む?」
「ううん・・・ううん・・・あ、ありがとう・・・あ、安堂くん・・・お風呂・・・、貰って来ます・・・」
僕はそう言って立ち上がった。
安堂くんは、
風呂場に行って説明をしてくれた。
バスタオルと着替えも用意してくれていた。
なんていい人なの?安堂くん・・・
僕は、
安堂くんに強く惹かれた。
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