別れ

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僕が安堂くんの家に棲み着いてから、 一ヶ月が過ぎようとしていた。 傍に居ると色んな安堂くんを見ることが出来る。 料理で失敗してしょげるところとか・・・ お風呂上がりはいつも上半身裸だとか・・・ 朝が苦手で寝癖が酷いこととか・・・ 思い出すとフフッと、 笑ってしまう。 もう望さんは迎えに来ない。 僕にはそう感じていた。 そろそろ、 安堂くんに、 返事をしないと・・・ 望さんを忘れて、 貴方と生きていくと・・・ 望さんにとっても、 きっとそれが一番いい・・・ ある夜、 僕はお風呂から出て来た安堂くんに向かって言った。 「あ、安堂、くん・・・ぼ、僕を・・・・・・・・あ、愛して・・・・?・・・・」 僕はとうにお風呂に入っていた。 して貰うために、 後ろも弄っていた。 安堂くんは、 その場に凍り付いたように動かない。 「あ、安堂くん・・・・?・・・・・・」 「そんなことがあってもいいのか?」 「え?・・・・・・・」 僕は次の瞬間、 ギュッと、 抱き締められていた。 腕の力が強い・・・ 「いいのか?もう・・・望さんのことは・・・・・・」 「うん・・・の、望さんにも、こうした方がいいと思うんだ・・・・」 「遠慮はしないぞ?」 「う、うん・・・し、しないで・・・・・・」 僕はその夜、 初めて望さんじゃ無い人に抱かれた。 安堂くんはとても優しく僕を抱いてくれた。 きっと恋愛経験も豊富なんだろう。 その所作は、 全く僕の体に圧を掛けることはしなかった。 優しく、 本当に優しく、 僕の体の奥を探った。
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