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「弥生ちゃん、飲みすぎだよ。送るから起きてくれないかな」
少し困った声に弥生は首を振った。一人の部屋になど帰りたくない。惨めで孤独な自分が実感されるだけだ。
「一人の部屋なんか帰らない……」
このまま店に転がしてくれてもいいと思った。三日間休みだから、どこで寝ても同じ……違うと、弥生は自分の考えを否定した。健司の家と、自分の住んでいるアパートは絶対に嫌だ。
「弥生ちゃん、俺も男なんだよ。そんな言葉聞くと、連れ帰りたくなるんだけど」
微かに笑いが含まれているから冗談だと分かる。でも、弥生はその言葉を本当にしたくなった。
驚くような美貌の男に抱かれたら、惨めな気持ちも少しは晴れるかもしれない……
「ねぇ、冬夜さん……あたし、そんなに魅力ない?」
軽く返されると思ったのに、意外にも冬夜は否定してきた。
「誰もそんなこと言ってない。本当に本気で誘ってるの?」
少し怒った声に聞こえたから、弥生は不思議に思ったけど頷いた。
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