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エレベーターで部屋のあるフロアまで昇って、今の冬夜の部屋に入った。その時まで沈黙していた冬夜は、玄関に入ると、やっと言葉を向けてきた。
「弥生ちゃんを捨てるなんて駄目な男だな。まぁ、そのおかげで……」
意味の分からない言葉を確認しようとする前に、いきなり唇が重なった。まだ玄関なのに……驚く弥生だったけど、巧みなキスに息が上がってしまい、冬夜にしがみついていた。
ドアは、閉まった時に鍵が掛かったのは分かっている。
冬夜は、キャリーを玄関に置いたまま、弥生の靴を脱がせてから抱きあげた。毛足の長い絨毯は冬夜の足音を消した。
音のない中、移動した冬夜は片手で器用にドアを開けた。当たり前だけど室内は暗い。とまどう弥生に気づいたようで、微笑む気配がして、ほんのりと明るくなった。
ベッドサイドランプに明かりが点くと、大きなベッドが弥生の目に映った。
冬夜は、弥生をそっとベッドに降ろすと、ネクタイを緩めてシャツから引き抜いた。色気のある仕草に息を飲む弥生へと笑みを向けると、冬夜はシャツも脱いだ。
服を着ている時には想像もできない、引き締まった身体が現れた。
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