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弥生は目覚めた時、身体が重かった。やけ酒を飲んだ記憶がある。
(最悪……もう飲みすぎない……)
昨夜の酔いが残っているのか、気だるい感覚に弥生は寝返りを打った。でも、次の瞬間、彼女は凍りついた。
横に、眠っていても分かる美貌の男がいた。しかも全裸で……思わず自分を見ると、弥生も何も身につけていない。茫然とする弥生だけど、隣りの男性を見て、昨夜の記憶をすべて思い出していた。
この身体に抱かれたのだ。我を忘れるほどの快感が身体中に走って、何度も二人は絡み合い繋がり合った。信じられないほど熱い夜だった。
周りを見回すと、濃い緑色の内装だと分かる。
〝あのね、冬夜さんの部屋って深い緑色なの。昴流は針葉樹の森みたいって言ったんだ。私も初めて入った時、そのとおりだって思ったよ〟
大学からの親友が彼女に話したとおりの部屋だ。つまり、ここは冬夜の寝室になる。
(なんで、こんなことに……そうよ!全部あいつが、健司が悪いのよ!)
二股をして彼女を捨てた元恋人を、弥生は心の中で罵った。状況が変わるわけはないけど、原因を作った相手に怒りを向けてからでないと、とても、現実を受け入れられそうになかった……
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