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「健司を評価してくれたんだから喜ばないと。
あ、そうだ。あたし、東京で働けるように転勤願いを出すね。そうなったら東京で一緒に暮らせるもんね」
気象庁で予報官として働くことになった弥生は、大学のある街での赴任になった。県庁所在地であり、この地域では中心都市になるので、他の行政施設も多い。
健司も同じ街で働くだろうと思っていた。街には健司の就職した会社の支社も存在している。大学の先輩で、彼と同じ会社に就職した人のほとんどが、その支社に勤めていた。
「そうしてくれるか?嬉しいけど、大丈夫か。入ってすぐに転勤願いなんて出して」
「どうかな。でも、言わなかったらきっと転勤はないと思うからさ。
言っても大丈夫だと思うよ。無理に押さないから安心して」
恋人が傍にいたいと転勤願いまで出す。健司は嬉しかったようで、笑顔で抱き締めてキスをしてきた。
彼の実家なので、それ以上のことはできない。でも、愛されていると実感できて弥生は幸せだった。
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