第一章 最悪の金曜日~やけ酒と過ちの一夜

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 「健司を評価してくれたんだから喜ばないと。  あ、そうだ。あたし、東京で働けるように転勤願いを出すね。そうなったら東京で一緒に暮らせるもんね」  気象庁で予報官として働くことになった弥生(みお)は、大学のある街での赴任になった。県庁所在地であり、この地域では中心都市になるので、他の行政施設も多い。  健司も同じ街で働くだろうと思っていた。街には健司の就職した会社の支社も存在している。大学の先輩で、彼と同じ会社に就職した人のほとんどが、その支社に勤めていた。  「そうしてくれるか?嬉しいけど、大丈夫か。入ってすぐに転勤願いなんて出して」  「どうかな。でも、言わなかったらきっと転勤はないと思うからさ。  言っても大丈夫だと思うよ。無理に押さないから安心して」  恋人が傍にいたいと転勤願いまで出す。健司は嬉しかったようで、笑顔で抱き締めてキスをしてきた。  彼の実家なので、それ以上のことはできない。でも、愛されていると実感できて弥生は幸せだった。
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