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部長の声がひきつっている。
「あ……貴方と今井さんの関係は……」
良一は青ざめている。紗彩に近い男性が霧山商事の役員秘書。彼女も普通の家の娘でないと気づいただろう。
「ああ、これは失礼。
私は、紗彩の兄の天沢鷹也と申しまして、彼女の父違いの兄になります。ですので名字が違うんですよ」
ここで鷹也は、とろけるような笑みを浮かべた。
プライベートでも滅多に見せない笑みに紗彩は驚いたけど、周りは溜息に包まれている……
この容姿でこの笑みは反則だと思う。
鷹也は、スーツの胸ポケットに入っていた社員証を部長に見せた。
確認した部長が喉を鳴らしている。鷹也が言ったことは事実だと、その態度を見て分かっただろう。
でも、兄は社員証をすぐにポケットへ入れた。
霧山商事の人間は簡単に個人情報を明かさない。利用されることを警戒していると聞いた。
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