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社員用の通用口から出ようとする時も視線を感じた。
振り返ると、受付の社員が見つめていた。良一と婚約した専務の娘も食い入るような視線を兄に向けている。
仕方ない。この容姿を見て、まったく無関心な女性は少ないだろう。
助手席に座った紗彩はスマホを出すと、良一の番号とアドレスを拒否設定にした。気づいた鷹也が笑っている。
「まだしてなかったのか」
「だって勤めてたから。一応先輩だし。出ないにしても着拒だとね。でも、もう無関係だからいいかなってね」
鷹也は笑いながら、数か月前に購入したばかりのファミリーカーを発進させた。
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