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「彼女の旦那さん、背が高くてイケメンなんだ。見たら驚くよ」
勇矢の言葉に紗彩は可笑しくなった。言っている本人が長身のイケメンだ。
「勇矢さんよりも?」
言われた勇矢は苦笑した。
でも、実際に花野の夫を見た紗彩はかなり驚いた。勇矢よりも長身の、穏やかなイケメンだ。
周りの騒ぐ声が聞こえる。仕方ないと紗彩も思う。こんなイケメンが二人も並んでいたら、アラフォーの雰囲気だとしても関係ない。
「それじゃ、また会いましょうね」
花野は笑顔で夫の運転する車で帰っていった。営業のトップというその男性は人当たりも良くて、紗彩も憧れの視線を向けてしまうほどだった。
「いい男だろ」
勇矢に言われても、まったく説得力がないけど紗彩は頷いた。
「鷹也を見慣れてるから、この顔には無反応だもんな」
笑う勇矢だけど紗彩は困った表情になった。
花野を見送った後、二人はさっき乗ったタクシーでマンションに向かった。車のシートに座ると、紗彩は深く息をついた。
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