夢のなかに

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 色んな所に行ったのに行った所を覚えてないのはそういうことだろう。  真っ白な住宅街に緑の生きたカーテンが優しくていいなと思った。紙に綴った。 「どうしてこんなに優しいんだ。と思うことには2つの矛盾がある。優しいを知ってるのに触れたことがないことと、触れたことがあるのに優しいを知ること。」  またまた赤い風が吹いて吹いて吹いて、身に慣れたものがあった。 『その小説はいつになったら終わるの』  終わらせようとするのはどうしてだろう?小説のことを知ってるのはどうしてだろう?もうどうでもよくなったので言葉を詰めた紙をあげた。顔を見るのは初めてなのに初めてじゃないのはどういうことなんだろう。 『おかえり。やっと見てくれたね』  会ったことのありそうな人と聞き覚えのある声。猫がどこにもいなかったのはそういうことなんだと、わかった。わかったんだよ。  突然、忘れたくないと思って覚えていなかった、忘れないようにしようと思ったことだけ覚えている言葉を思い出した。 「ご主人様は人形と遊ぶけれど、人形はご主人様と遊ばない』
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