夢のなかの

2/3
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 パンとスープを食べて、家にやって来た猫に缶詰を与えて、読みかけの本を読んで、南の窓の外を見つめる。気がつけば日が変わっていた。 *13月37日*  ブランケットに包まってたら眠気が誘ってきたので北の窓の部屋に戻る。といってもやることがないので引き出しからノートを取り出して捲った。  このノートにはその日見た『夢』が綴られている。どうしてそんなことをするかというと、そういうことだからである。つまり『夢』を見てそれが毎日続いている。  最初は眠りが浅いせいかと思ったらそういうことではないらしい。というのもこの『夢』は話が続いているのだ。だからノートにその日の『夢』を記して忘れないようにしているのだが、今日は忘れてしまった。昨日も、一昨日も。『夢』のなかで忘れないようにしようと思ったことは覚えている。何を忘れないようにしようと思ったかは覚えてない。  ノートを読み返してわかったことは「旅をしながら小説を書いている」ということ。毎夢、どこかへ行って物語を書く。どこかへ行って物語を書いていることは覚えている。どこへ行っていたのか、どんな物語を書いていたのかは覚えてない。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!