夢のなかの

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 覚えていないことに限って忘れたくないことというのはよくある話で、その物語の内容がすごく大事で面白くて忘れたくないとかじゃない。言葉にすることが面倒な親近感のある内容だった気がする。気がするだけなのだ。  それともう一つ覚えていることは覚めると忘れている『夢』の話を寝夢(ねむ)ると思い出すこと。正確にいえば本に挟んだ栞が覚めることを意味するだけで思い出す必要すらない。場面が切り替わるように毎夢、場所と関わる人が変わるだけなのだ。  いつからそうなったか辿ってみるともう2か月近く続いている。寝る前の儀式という名の「読書」を習慣づけようとした日くらいだ。本の内容でも関わっているのかと思ったが多分関係ない。多分。というのも覚めた世界の物語と寝夢った世界の物語がどう関係しているのか。深く考えることが面倒くさくなったのでノートを閉じて元の場所に戻す。もうそろそろ猫がご飯を強請りにやって来る頃だ。 *AM 29:17*  パンとスープとサラダを食べて、構ってほしい猫と遊んで、読み終えた本をほったらかして、南の窓の外を見る。眠気が誘ってきたので寝よう。今度こそ『夢』の話を忘れないように北の窓の部屋のベッドに潜り寝息をたてる。 *PM 47:51*
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