11月XX日、金曜19:57

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 つい30分前にメッセージが途切れてから音信不通だったのに、どうしたんだろう。  優樹の予定は知っているはずだから、連絡があるにしてもメッセージなら理解できる。わざわざ電話をかけてきたことが不思議だったが、緊急の用事かもしれないと思いあたり、戸口に身体を向けて通話ボタンを押す。 「もしもし?」 『よかった、繋がった』  小声で応答すると、低い声が耳をくすぐった。 「ユウキくん? どうしたの?」 『お店、恵比寿のどこ』 「え、お店って?」  移動中なのか、電話の向こうで雑踏の音が聴こえる。 「俺、恵比寿駅にいるから」 「ええっ……!」  もしやと思った予想が的中し、驚きで一瞬言葉をなくす。 (なんで? 残業は?)  疑問符を頭に浮かべながらも、優樹は最適と思われる答えとして店名と予約名を手短(てみじか)に告げた。 「ありがと」  それを最後に通話は途切れた。スマホを手に持ったまま呆然としていると、背中を叩かれる。 「ゆーきちゃん、どうしたの?」 「あ、ううん。飛び入り参加の連絡」 「えー今から?」 「どういう人!?」 「知り合いの男の子で__」  簡単に彼と出会った経緯と職業について伝える。と言っても、優樹が知っているのは職場がお台場のあたりであることと、理系の会社でエンジニアをしているということくらいだった。 (改めて振り返ると、私ユウキくんのことほとんど知らないな)  何度かフットサルサークルで一緒になって、その後は二人で数ヶ月に一度会っている。軽くランチとかお茶するくらいの気軽な仲になってから1年以上。  それなのにいざ説明しようとすると、難しい。そんなにしゃべる方ではないけれど落ち着きがあって、気遣いができる人。  優樹にとってのユウキくんとは、(おおむ)ねそんな相手だった。
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